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夏休みの魚捕り [魚捕り]

魚捕り

わたしは、父親の生家に夏休みを利用して遊びに来ていた。
宿題の「夏休み帳」や毎日書いて提出する「日記帳」、下着の替えやTシャツ2枚と半ズボン2枚を持って、約2週間の予定だった。

小学2年生の私には、毎日が特別の日だった。
朝早くから堤(ツツミ)といって、農業用水の溜池に兄と二人で出かけていった。家から100m程の距離だ。手にはバケツと魚を捕るための水中網を持って行った。

今は2,3センチのフナの子がいっぱいいる。
いつもなら、食卓に上がってきた魚が、それはサンマヤ、アジや、時には鯛であったが、その魚を今ここですくうことが出来るのだ!

目が黒くて、鱗のきれいな、そしてピョンと跳ね上がる元気良さ。私と兄とで10尾ほど捕まえた。

朝食のためにケサちゃんが呼びに来た。彼女は高校生だったと思う。「きょうはタイリョウ(大漁)だ!」と得意げに言ったら、
ケサちゃんは笑っていた。

わたしはこの時の笑いが理解できなかった。10尾では大漁と言わないのだろうと思った。そのケサちゃんの笑い顔が今でも記憶の中にある。

父の生家のおじさんや、おばさん、そしてケサちゃんも、もういない。家もそこにはない。既に孫の代になっている。
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