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昆虫採集と思い出 コミズムシ [コミズムシ]

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<写真出典=「学研の観察図鑑2 昆虫2・クモ」発行人:鈴木泰二/編集人:本間三郎/発行所:株式会社学習研究社/1984年発行>

コミズムシ


夏、夜になっても蒸し暑かった。クーラーなどほとんどの家にはなかった。
外へ出て夕涼みをしたものだ。

そんな時、町に一つしかないネオンサインに多くの昆虫が集まってきていた。ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、メスのカブトムシ、カミキリムシ、クツワムシ、各種のガ、セミ、カナブン等々。

今ではミヤマクワガタなど滅多に見ないが当時は普通にいた。カブトムシやクワガタのメスはブタと子供の間では呼ばれていて見向きもされなかった。

その中にコミズムシという5ミリくらいの水生昆虫がいた。父はそれの名前をミズスマシと言っていたが図鑑で調べてみると正しくはコミズムシである。(ミズスマシの方が情緒がある。)

それを10匹くらい捕らえてきて10㎝くらいの透明なグラスの中に入れ、水を入れ、そこへ3~5mmくらいの正方形に切った布を入れた。それも赤い色でないとだめだった。

しばらくすると、コミズムシは水面に浮いている赤い布をもって水底へ移動するのである。そして下まで行くと、布に乗って、ふわーっと浮上してくるのである。そしてまた同じことを何回も何回も繰り返すのである。それをそこに入れた全部のコミズムシがやるのである。

なぜそんなことをやるのかわからなかったが、見ていてきれいでおもしろかった。
また、赤い布でなければだめだった。

夜、光に誘われてコミズムシが来ると必ずやってみた。
見ていると、涼しげな夏の風物詩と言えそうだ。

昆虫採集と思い出 マツモムシ [マツモムシ]

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<写真出典=「学研の観察図鑑2 昆虫2・クモ」発行人:鈴木泰二/編集人:本間三郎/発行所:株式会社学習研究社/1984年発行>

マツモムシ

小学生の頃、夏休みの水泳の帰り何気なく用水池をのぞいた。
学校にはかならずどこかに設置されているある防火用水池だ。

中をのぞくと、水草が生え数匹のアメンボウが泳いでいた。
その中にスーーと直線的に泳いでいる何かムシを発見した。
泳ぐ勢いもあり速くもあった。そして、なにかおもしろい形で
泳いでいるなと思いました。

素手ではとれない、家にいったん帰り網を持ってきた。
どうしても捕まえたかった。なかなか捕まらない。
泳ぎが速い、だが一定のパターンがあることを知った。
こう逃げたら次にはここへ泳ぐから先回りして網で待ち伏せすればいいと考えた。

案の定その通りのコースを来たので網をそこへ仕掛け捕獲した。

かれこれ1時間以上かかったと思う。そして念願のその虫に手を
触れた瞬間、激痛が走りました。蜂に刺されたようでした。
とても痛く、痛みは長引いていたようです。

昆虫図鑑で調べるとマツモムシだということがわかりました。
それからあの泳ぎは腹部を上に向けて逆さまに泳ぐのだとも書いてありました。
それであの変な泳ぎが理解できました。
またあの刺された痛みを知って二度とマツモムシには手を出すまいと思いました。

その後、用水池は悪ガキが石を投げ入れたので、だいぶ埋まってしまいました。
また学校側は危険を意識したのか用水池に金網が張られました。

今になっても、あのとき見たスーイ・スーイと気持ちよく泳ぐマツモムシの姿は忘れられません。

昆虫採集と思い出 タマムシ [昆虫採集]

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 タマムシ
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多くの人が美しいことの表現に使う言葉で、「タマムシ色に輝く」とか「タマムシのように美しく」と言います。美しいという言葉の代名詞になっているようだ。

法隆寺にある玉虫厨子が製作された飛鳥時代(538-645年)、タマムシを何千匹も使って厨子は製作されたそうです。

子供の頃、タマムシと聞けば、体をくるくると丸めるダンゴムシをイメージしていたが、昆虫図鑑をみて、自分の認識が間違っていたと思うと同時に、いつかきっと生きているタマムシを見てみたいと思うようになりました。

それが実現したのは、私が大人になってからで、夕方車のフロントガラスに飛んできたのを見たのが生まれて始めてみるタマムシでした。

子供の時から抱いていた夢が実現したという感じでした。確かに美しい。私はなんてラッキーなんだろうかと思いました。この土地にも図鑑に載っているタマムシはいたのだと感動しました。

ゴールデングリーン、ゴールデンイエロー、ゴールデンレッドの縦に縞模様になっていました。数日飼っていたが死んでしまったので標本にしました。
tamamusi-3.jpg

それからもう、何年もたつのに写真のように、色の輝きはほとんど変わってないと思われます。足先の爪までも金属的なゴールデングリーンはかわりません。昆虫がこのような金属的光沢をどうして保持できるのだろうと未だもって不思議です。

昆虫採集と思い出 ヒメギフチョウのこと [昆虫採集]

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<写真出典=「学研の観察図鑑1 昆虫1・チョウ」発行人:鈴木泰二/編集人:本間三郎/発行所:株式会社学習研究社/1984年発行>


ヒメギフチョウのこと


テレビやラジオ、新聞などでヒメギフチョウの話が出てくると、私はそちらの方へ耳を傾ける、
そして何十年か昔のことを思い出す。

私はその頃、高校の生物部に籍を置いていて、8人くらいの仲間と活動をしていた。
対象は「モリアオガエルの研究」と「ヒメギフチョウの研究」の2大テーマだった。

ヒメギフチョウは写真に見るように黒と黄色のまだらに裾の所に赤いスポットが特徴だった。
近くの山間にヒメギフチョウが食べるカンアオイという植物が群生していたので、そこで見ることができた。

私は卵から成虫になるまでを観察するために、葉っぱに卵が産み付けられているカンアオイを根から採集して持ち帰り、家で10㎝ほどの植木鉢に植え替えた。カンアオイには2つの卵が付いていた。

カンアオイに水をやりながら、毎日毎日、観察日記を書いた。変化のないときは「変化なし」と。
そして、いつしか黒い2ミリ位の幼虫がふ化したことを知った。

私はふ化したことに感動して見守った。それから鉢全体を網で囲った飼育箱を作り毎日毎日克明に観察日記を書いていった。飼育箱は底面が縦横30cmmの正方形で高さ50cmほどあった。そこにナイロンの網を張った簡単なものだった。

幼虫は5mm,1cm,2cm,3cmと次第に大きくなっていった。カンアオイの葉がなくなれば、また採集してきて鉢に植えた。かくして幼虫はサナギになった。そして冬を越した。

春になって、サナギのしっぽが動いているのを発見した。もうじき蝶になるのだと思いワクワクした。ある日、学校から帰ってくるとヒメギフチョウがばたばたと、狭い飼育箱の中で飛んでいた。私は羽のどこも損なわれていない、きれいなヒメギフチョウを目の当たりに見ることができた。うれしかった。

成虫になった蝶は翌日カンアオイの群生している山間へ離しに行った。
かごから出してやると、元気よく飛んですぐ見えなくなった。

私は当時のことを克明に観察日記に書いた。しかし、もう一匹の同じ頃サナギになったほうは、何の変化もなかったので不思議に思っていた。サナギの中は、まだコロイド状なのかもしれない。

一つ残ったサナギはいつまでも変化なかった。「もしかして、死んでしまったのでは?」と疑いを持つようになった。数日後、動かないサナギをくまなく見ていると、ぽつんと1mmくらいの穴が開いているのを発見した。

「誰もこんな所に針を刺した覚えはないのに」と見ていると、なんと中からハエが出てくるではないか!
ショウジョウバエより、もう少し小さなハエ。
私は愕然とした。

自然界では何でも起きるのだなと思った。
春になって美しいヒメギフチョウが羽化するのを待っていたのに。
ハエか!きっと、ヒメギフチョウが幼虫の時、ハエは卵を幼虫の体の中に産み付けたのだろう。そうして、幼虫がサナギになってコロイド状になったときハエは卵からかえり、サナギの中でそれを食べ、ハエが大きくなったときサナギに穴を開けて出てきたのだろう。
ハエも生きる権利はあるだろうが、これでは泥棒だ。


自然界では力だけが生きる正義なのだということを知った。
もしかしたら生まれ出て日の目を見ない方がずっと多いのではないか。
人間界でも力の強さが正義として歴史をつくってきている。
生物が生きることは本当に厳しいとつくづく思ったものだった。



昆虫採集と思い出 キリギリスのこと [昆虫採集]

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<写真出典=「学研の観察図鑑2 昆虫2・クモ」発行人:鈴木泰二/編集人:本間三郎/発行所:株式会社学習研究社/1984年発行>

  キリギリスのこと


父のバイクに乗せてもらったことがあった。
私は小さかったのでバイクのオイルタンクの上にまたがった。
メグロの250CCバイクだったと思う。
どこか各先へ製品を配達に行く途中だった。
山間を走っているとき父は急にバイクを止めた。
そして草むらに何かを探しているようだった。

「なに?」
「ちょっと待っていろ」

しばらくして、父はかぶっていた鳥打ち帽子の中にバッタを捕まえてきた。
足の所に赤い線の入ったキリギリスである。
大きいりっぱなキリギリスだった。

私は以前、尻剣のついたメスのキリギリスを捕まえた
ことはあったが、オスを見たのは初めてだった。
図鑑でしか見たことがない。
私は生まれて初めて実物に触れた。

父はそのキリギリスをどう持ち帰ったのか知らないが
数日後、家の中でキリギリスが鳴いているのを聞いた。
縁側でキュウリの入った竹ひごの虫かごの中で、
気持ちよく鳴いていた。
「やっぱり、バッタの王様はキリギリスだ。」

父がキリギリスを捕まえるなど、私は初めて見た。
おそらく父もキリギリスの鳴き声に誘われて
童心に返り、バッタ取りをしたのだろう。

父が他界してからもう何年もたつが、毎年キリギリスの鳴く
頃には、あの日のことを思い出す。


タグ:キリギリス

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